森保まどかさんほどの才能なら、音楽大学への入学も難しくはないでしょう。しかし、大学には進学しておらず、アイドル活動に全力を注いでいたようです。

日本の芸能界において、絶対に欠かすことができないアイドルたち。1960年代辺りから世代ごとの若者たちを熱狂させており、今やアイドル文化は日本の財産と言ってもいいほどでしょう。

1970年代、1980年代のアイドルたちは、異国の王子様、お姫様のようなアイドルばかりデビューし、黄金期と言われる時代を築きました。しかし、現代のアイドル業界は正統派のみならず、個性的な一面も求められる時代に突入しています。むしろ個性派の方が長く愛されるアイドルが多く、アイドルの形は時代の流れと共に、大きく変化しているのです。

HKT48にも個性派アイドルが大勢いますが、森保まどかさんは王道の正統派を貫くアイドルとして知られていました。存在感はかつての女王であった指原莉乃さんに並ぶほどで、強烈な個性を放つアイドルたちに紛れても、彼女の輝きが衰えることはありませんでした。

そして、森保まどかさんは正統派ではあるものの、十分すぎる個性を持つアイドルとしても有名でした。ある特技が凄いと話題になり、活躍の場を広げることに成功したのです。

森保まどかさんの個性的な一面は、「ピアノが得意」という点です。日本に存在する無数のアイドルたちの中には、ピアノなど楽器を演奏することができるとアピールしているアイドルは大勢存在しています。特にピアノが得意なアイドルが最も多いのですが、森保まどかさんの腕前は、他のアイドルたちと比較しても別格と言えるほどの実力だったのです。

森保まどかさんは、6歳の頃からピアノのレッスンを開始。ピアノは幼少期から学ぶ方が学習スピードが速く、ピアノのみならず、音楽全体の才能も開花させることもできます。森保まどかさんもピアノを幼少期から学んでいたため「絶対音感」という能力を身につけているのです。

クラシック音楽を勉強している人なら、誰もが知っているであろう「絶対音感」という能力。幼少期から音楽に触れている人であっても必ず開花するとは限らない能力であり、選ばれた天才にしか手にすることができない才能です。

絶対音感に目覚めると、全ての音を「音楽」として聴けるようになり、雨音なども「ドレミファソラシド」の音に聞こえます。無音にしか感じない音すらドレミ音に聴き分けることができるのですが、森保まどかさんいわく、絶対音感を持っているからと言って得をしたことはないそうです。

幼少期にピアノを始めた森保まどかさんは、絶対音感に目覚めるほど音楽の才能に恵まれている逸材。その才能はしっかりと結果に反映されており、数々のコンクールに入賞していることも判明しています。

現在までに「第14回PIARAピアノコンクール全国大会ジュニアC部門」、「第1回ヨーロッパ国際ピアノコンクールインジャパン全国大会自由曲部門中学生の部」などで入賞しており、ヨーロッパ主宰のコンクールでも実力が評価されたほどの腕前なのです。

森保まどかさんの才能が世間に注目されるきっかけとなったのは、フジテレビ系列で2014年に放送された「芸能界特技王決定戦 TEPPEN」への出演。ピアノ部門の出演者に選ばれ、ピアノと声楽の天才アイドルとして知られる乃木坂46生田絵梨花さんらと共に出演しました。

TEPPENには何度も出演しており、森保まどかさんのピアノの腕前は、ファンだけでなく、番組の視聴者からも絶賛されてきました。優勝を逃した際は「HKTの子の方が上手だった」「なんで優勝じゃないのか分からない」などと、ブーイングの声がインターネットで上がったほどでした。

そして、2015年秋でのTEPPENにも出演し、森保まどかさんはライバルであった松井咲子さんを超え優勝。祝福のメッセージが大量に寄せられ、ピアノの天才アイドルとしての地位を確固たるものとしたのです。

TEPPENでの活躍、そしてアイドルとしての魅力がファンに評価され人気アイドルの仲間入りを果たした森保まどかさん。

そんな逸材を、音楽業界が放っておくはずはありません。2019年、森保まどかさんがピアニストとしてソロデビューすることが決定したのです。

ピアニストとしての森保まどかさんを担当しているのは、超大物プロデューサーとして有名な松任谷正隆さん。昭和時代のアイドルから現在も活躍中のアーティストまで幅広く手掛けており、伝説のアイドル松田聖子さんのヒット曲「赤いスイートピー」「渚のバルコニー」「ピンクのモーツァルト」も松任谷正隆さんがプロデュースを担当しました。

森保まどかさんは、2020年1月に松任谷正隆さんプロデュースによるファーストソロアルバム「私の中の私」をリリースしています。オリコンの週間アルバムチャートでは7位を記録しました。

「私の中の私」は全編ピアノ曲での編成となっており、世界遺産のテーマ曲を手掛けた大物作曲家、鳥山雄司さんも参加しています。

ピアノソロアルバムには、ベートーヴェンによる楽曲「ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13」が収録。楽曲は日本国内においては「悲愴」のタイトルで知られており、特に穏やかな曲調である第2楽章のみの構成となっているようです。

楽曲は現代風にアレンジされているものの、原曲の良さである優しくも切ない世界観、そしてクラシック音楽特有の壮大さを大切にした状態で上手にアレンジされています。

エレクトロニクス音で絶妙な味付けにされているので、クラシック音楽の堅苦しい雰囲気が苦手な人も必聴です。